ぶどう栽培発祥の地

1.歴史あるぶどう栽培発祥の地

山形県南陽市は、江戸時代初期にぶどう栽培が始まったとされる、ぶどう栽培発祥の地です。北側に十分一山という山があり、金山として栄え、金堀人が各地から集まってきました。その中で、甲州のぶどうの苗を持ってきて植えたことが山形県のぶどう栽培の始まりであるという説や、出羽三山に通じる街道から修験者が持ち込んだ説など、諸説あります。そして江戸後期には甲州ぶどうが作られていましたが、明治になって欧州の種や米国の種が入ってくると、ますますぶどうの産地として栄えるようになりました。

ぶどう栽培の歴史が古いので、ワイン造りの伝統も古くあります。ぶどうだけではなく、全国でもトップクラスの評価の「醸造技術」を受け継いでいて、ぶどう栽培農家やワイナリーもたくさん生まれました。

そんなワインの原料でもあるぶどう作りは、収穫後の枝整理から始まります。雪に弱いので、下準備は雪が降る前に終わらせておきます。新芽が出ると、1房1房手間をかけて育てていきます。収穫期にはぶどう狩りでもにぎわい、観光地としても盛り上がります。南陽市は、恵まれた気候で農作物の栽培に適した土地なので、ぶどう以外に、お米やさくらんぼやりんごも産地で、ぶどう狩り以外にさくらんぼ狩りも楽しむこともできます。

 

2.ぶどう栽培発祥の地として栄えた理由

山形県南陽市は、北側に山があり、南側にはよく肥えた平野が開けていて、豊富な雪解け水と水はけの良い土地です。日照も十分有り、何よりもぶどうや作物にとっていいのが昼と夜の寒暖差です。寒暖差が激しい事で糖分が高くて、いいぶどうや作物が出来るのです。そのため南陽市は、ぶどうの成熟期に雨が少ないということも含めて、ぶどうの産地という条件を十分に満たしていると言えるでしょう。また寒暖差が激しい事で、ぶどうの糖度は20度を超え、濃厚な甘さを楽しむ事ができます。寒暖差以外にも日照時間が長い事や、水はけのよさもいいぶどうを作るための土壌の条件でもあります。そういった条件を持ち合わせていた事も含めて、南陽市はぶどう栽培の発祥の地というだけではなく、いいぶどうが栽培される地として栄え、また今でも、さらに技術を高めていいぶどう栽培を続けています。

 

3. 寒暖差が激しいと糖度が増す訳

寒暖差が激しいと何故甘いぶどうになるのでしょう。それは昼間の暖かい時間帯に、光合成で栄養をたくさんため込みます。温度が高いと昼間にため込んだ栄養を呼吸で使って消費しますが、冷え込む事で呼吸が抑えられて栄養の消費量が少なくなります。そのため暖かい間に蓄えた栄養を消費することなく、たくさん含んだ作物になるのです。作物がため込んだ栄養とはまさに糖です。寒暖差がある事で作り出される糖が多く、消費される糖が少ないので糖度の高い作物が出来るため、甘くていいぶどうが育ちます。このようにぶどう栽培に適した土地だからこそ、色付きも良く糖度の高いいいぶどうが出来るのでしょう。