「黒い真珠」のピオーネは巨峰の子ども。巨峰との違いと新種ニューピオーネとは?

ピオーネの特徴

大粒でプリッとした弾力が特徴のピオーネは、ほどよい甘さが魅力的なぶどうです。黒ぶどうの一種で、つやとはりのある美しさがまるで黒真珠のように見えることから「黒い真珠」とも言われています。大変食べごたえがあるぶどうで、果汁の香りも甘く、口に入れると甘みと適度な酸味が口の中に広がります。大きいサイズだと20gもあるため、満足感が得やすいぶどうです。

 

ピオーネの親は巨峰とマスカット

ピオーネは「巨峰」と「カノンホール・マスカット」から開発された品種です。そのため、巨峰とマスカットの性質を受け継いでいます。巨峰からは紫黒色のカラーと大粒で肉厚という特徴を、マスカットからは爽快な香気をそれぞれ受け継いでいます。ピオーネはまさに、巨峰とカノンホール・マスカットのよいところを併せ持ったぶどうと言えるでしょう。

そんなピオーネですが、誕生したのは1957年(昭和32年)のことです。ピオーネを生み出したのは、伊豆錦(いずにしき)というぶどうの生みの親でもある、ぶどう栽培家の井川秀雄氏です。井川秀雄氏は、巨峰を開発した大井上康氏の研究所に通い詰めて、日々ぶどうの知識や交配の技術を教わるほどぶどうに熱意のある人でした。通い詰めるうちに、さらにぶどうへの情熱が育ち、巨峰よりも美味しいぶどうの開発を目指し、ピオーネの他にも1000種以上のぶどうを育種しました。

 

ピオーネと巨峰の違い

見た目がそっくりなことから、よく間違えられるピオーネと巨峰ですが、実は若干ピオーネのほうがサイズが大きいです。味は、巨峰のほうが濃厚です。ピオーネも巨峰と同じく甘みが強いですが、マスカットの特徴を受け継いでいるため、酸味がありフルーティーですっきりとした味わいがします。

 

ピオーネの名前の由来

ピオーネの名前は、イタリア語の pioniere (ピオニエーレ)が由来となっています。その意味は、先駆者、開拓者です。最初は英語で同じ意味の「パイオニア」と名付けていたそうですが、その後変更しました。どちらにしろ、ぶどうへの情熱がうかがえるネーミングですね。

 

ニューピオーネとは?

よくピオーネの他に「ニューピオーネ」という表記を見ることもあるかと思います。ピオーネとニューピオーネは違うものなのか疑問に思った方もいるかもしれませんが、どちらも同じピオーネです。ただ、種が入っていないピオーネのことをニューピオーネと呼んでいて、こちらは通常よりも大粒であることが多いです。最近は種が入っていないジベレリン処理をされたピオーネが多く、「種無しピオーネ」として表記している場合もあります。

 

ピオーネの食べ方

ピオーネは皮と実が外しやすいのが特徴です。皮に切れ込みを入れると簡単にするんと外すことができます。きれいに水洗いしてから食べましょう。

 

ピオーネの旬

ピオーネの旬は9月〜10月です。しかし、大体は暑中見舞いや陣中見舞いなどの贈答用に求められることが多いため、ビニール栽培されたものは7月〜8月に出回っていることが多いです。