シーズンオフのぶどう農家は何をしている?収穫後の作業内容とは

1.収穫後もぶどう農家の作業は続きます

ぶどうを収穫・出荷したら、農家の方の仕事はひと段落つくのではありません。またそこから、すぐに次のシーズンに向けての準備が始まるのです。収穫・出荷後にまず行うのは肥料をやることと、病害虫防除のための薬液を散布することの二つです。その後も美味しいぶどうを作り続けるために、さまざまな作業を行う必要があります。

 

2.お礼肥をご存知ですか?

根から吸収した栄養分を惜しみなく注ぎ込んだぶどうを収穫した後も、ぶどうの木は生き続けます。そんなぶどうの木がずっと元気でいられるように、残された葉にはもう少し光合成を頑張ってもらわなくてはいけません。この時期に与える肥料は美味しいぶどうを実らせてくれたことに対する感謝の気持ちを込めた「お礼肥」とも呼ばれます。お礼肥によって残された葉の光合成が促され、来シーズンに向けて養分を蓄え始めるのです。

 

3.来シーズンに向けて病害虫対策をします

お礼肥と合わせて、病害虫を防除するための薬液を散布します。最近では無農薬栽培や低農薬栽培といった環境にも人間にも優しい栽培方法が注目されています。しかし、果物は病害虫の被害をとくに受けやすいため、農薬をまったく使用せずに育てるということはとても難しいことなのです。しかし、農家の方もできるだけ使用する薬液の量を減らせるように工夫を重ねています。ぶどうそのものに薬液が当たらないように芽もつぼみもまだないこの時期に薬液を散布して影響を避けつつ、次になるぶどうが虫による被害を受けないように準備しておきます。

4.美味しいぶどうを作るために欠かせない剪定作業

ぶどうの葉が枯れてきたら、次は「剪定作業」を行います。この剪定作業を怠ると、枝が伸び放題になって次のシーズンにできるぶどうに栄養分を集中させることが難しくなってしまいます。木の太さや勢いによって一本ずつ見極めが必要になりますが、この見極め作業も慣れていないと判断が難しいものです。

 

5.荒皮はぎ

ぶどうの木の表皮が古くなると、浮いたりボロボロになったりしてきます。そのままの状態で置いておくと、虫にとっては越冬するのにちょうどいい隠れ場所となり、暖かくなった途端に表皮の中から大量の虫が発生することになります。ぶどうの幹が虫によってかじられて折れやすくなったり、弱った部分からカビが生えると美味しいぶどうを作れなくなってしまうので、「荒皮はぎ」という表皮をきれいにはがす作業を行います。この荒皮はぎをすることによって病害虫が潜む余地をなくして虫による被害を軽減できるため、収穫後に散布する薬液の量を減らすことができます。このようにぶどうを収穫してからも常にぶどうの木の状態を観察して適切な処置を行い、年間を通して美味しいぶどうを作る土台を整えているのです。